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清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会のブログです。イベントや川の様子をお知らせします。手渡す会のHPはこちら↓ http://tewatasukai.com/


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球磨川防災フォーラムへの投稿文と意見書

 520日、国土交通省八代河川国道事務所が主催する球磨川防災フォーラムが人吉市で開催されました。

このフォーラム他、国交省の防災に対する姿勢についての問題点が、5月26日の熊日新聞に掲載された(手渡す会会員)緒方紀郎さんの投稿文に端的に挙げられています。

 また、フォーラムに先立ち、子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会・美しい球磨川を守る市民の会・清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会三団体のメンバーが熊本県庁を訪れ、球磨川の治水に関する意見書を国土交通省と県に提出しました。

「緒方紀郎さんの投稿文」「どのような考えで意見書提出に至ったかの説明文」、そして「国交省と熊本県への意見書」を下記に転載していますので、ぜひお読みください。

【緒方紀郎さん、投稿文】 ↓
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(題名)防災には情報の共有が不可欠

 520日、国土交通省が主催する球磨川防災フォーラム「いつか来る大水害を乗り越える」を聞きに行った。流域をあげて防災意識を高めることなどが議論されていたが、そのためには情報の共有が不可欠だと思う。ところが残念なことに、最近の国交省には情報を住民に伝えようとする姿勢が見られない。

 川辺川ダムに代わる球磨川の治水対策を話し合う「球磨川治水対策協議会」の検討内容について、今年1月にパブリックコメントの募集があった。パブリックコメントを書くための資料は国交省のホームページ等で閲覧するようにとのことだったが、資料を見ると膨大で分かりにくく、閲覧だけで理解できるような内容ではなかった。住民は、説明会を開くよう抗議文まで提出したのだが、結局何の説明もなかった。

 川辺川ダム事業計画で建設省(当時)はダム説明会を何度も開き、最終的には住民討論集会まで開いた。2007年には、球磨川河川整備基本方針の説明会(川づくり報告会)を流域の地区ごとに53か所で開催したのに、なぜ国交省は住民に直接説明をしなくなったのか。住民のために事業を進めようというのなら、まずは住民に説明をして、住民と対話をすべきだ。

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【わたし達の考え方と意見書】 

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突如、球磨川流域に千年に一度の大水害が発生 何故?

 国交省は3月末に「球磨川水系流域最大規模の洪水浸水想定区域図」なるものを新聞紙上で発表しました。この中には、家屋倒壊等氾濫流想定区域図や河岸浸食想定区域図も含まれています。千年に一度の大雨は大洪水を発生させ、上流から下流まで堤防はすべて決壊し、川沿いの家は氾濫流で倒壊し流されてしまい、低地はすべて浸水するとした図です。理由は流域住民が的確かつ主体的に避難するためであるとしています。

 川辺川ダムは80年に一度の大雨による洪水の氾濫はで防ぐことが出来るが、1000年に一度の大雨には全く役に立たない猛烈な洪水が発生し、想像を絶する災害が発生するというのです。だから、このような場合は流域住民が自ら的確に避難するしかないと国交省は言い出したのです。

 いままで、国交省は人吉の治水安全度は3年に一度は堤防が決壊して水害に出会うという考えを展開したり、人吉が大水害にあった昭和40年の洪水を持ち出し、本当はあの時もっと沢山の洪水が流れ、もっと甚大な被害に遭っていたはずだという考えを展開してきました。

そして、いまは、昭和40年の水増し洪水を対象にした治水対策案づくりに取り組んでいるところです。現在進行中の取り組みは、球磨全域の町や村を破壊してしまうような九つの対策案を発表し、他によい対策案はありませんかと住民に問いかけました。住民からの返信のほとんどはダムのない豊かな球磨川を再生させることが大切だというものでした。世界の歴史が教えてくれるところによれば、豊かな山河を守ってはじめて流域の暮らしも守られるということです。流域住民の多くが願っていることと一致します。

ここに、突如、国交省は1000年に一度の大雨を持ち出してきました。この背景には何があるのでしょうか。

その一つは、2011年には紀伊半島で想定外の大雨が降り、至る所が水没しました。山が崩れ、川に土砂が流れ込み大惨事も起きました。こんな大水害が発生した最中、狼少年問題も持ち上がってきました。大きな被害が発生したにもかかわらず避難指示を出さなかった某市長が「狼少年と言われたくなかったから」と言い訳をしたからです。この問題をきっかけに、想定外の大雨と防災のあり方が大きな話題となりました。

その翌年には、九州北部豪雨で至る所で大きな災害が発生しました。熊本県でも、特に阿蘇の大雨と至る所で発生した土砂災害、そして白川の大水害がありました。福岡県八女市の矢部川は、越流していないのに堤防が決壊し大水害を引き起こしました。

構造令といって、ダムや堤防の作りかを定めた法律を盾にとって、住民が求めている破堤しない堤防づくりを拒否し続けている国交省は、この矢部川の堤防決壊が引き起こした水害を重視し、これを引き合いにだして、人吉は3年に一度は堤防が決壊すると言い張っているのです。

しかし、白川においては、矢板を入れた破堤しない堤防づくりに取り組みました。立野ダムを容認したご褒美なのでしょうか。ダムは建設しなくてよいから、破堤しない堤防に作り替えて欲しいと住民の要望を逆手にとった対応をしました。

いずれにしても、このような想定外(ダムを作るために想定された雨量以上の雨が降ること)の雨が引き起こす災害が頻繁に発生するようになり、想定外の大雨にそなえるために、20155月に水防法を改訂しました。

「想定最大規模降雨により河川が氾濫し、浸水が想定される区域を洪水浸水想定区域として指定すること」という条文は書き加えたのです。

この水防法の改訂を受け、国交省は「浸水想定の作成等のための想定最大外力の設定手法」も発表しました。この設定手法において、想定最大雨量の計画降雨規模は1000年に一度の大雨としたのです。

ダムをつくるために想定された雨量以上のいわゆる想定外の大雨に備えた取り組みすすめている最中、2015年の9月に、鬼怒川の大水害が発生しました。堤防の決壊から氾濫流が生じ、次々と家が流されていく姿は一部始終テレビで放映されました。

鬼怒川の上流には四つの大きな治水に対応するダムがあり、雨の降り方は紀伊半島豪雨や九州北部豪雨に比べると雨量は少なかったにもかかわらず、堤防決壊が起き、激しい氾濫流が発生しました。激しい氾濫流が発生したところは本来は川の一部であるところだったからです。堤防を築き、上流にダムをつくったから安全であるとし、そこに町づくりを進めたのです。その結果、大水害に遭ったのです。100%人災です。

ところが、国交省は、慌てて同じ9月に社会資本整備審議会河川分科会大規模氾濫に対する減災のための治水対策検討小委員会を立ち上げました。ここでは、治水対策は万全を期していたが、地方公共団体の無能と流域流民の防災意識の低さが問題であったと結論づけたのです。驚くべき結論です。この答申で取り上げているハード面での治水対策はダムに反対する人たちが長年主張し続けている破堤しない堤防づくりがただ一つ提言されています。

12月にはこの小委員会が「社会意識の変革による水防災意識社会の再構築」を答申しました。この答申を受け、球磨川水系でも水防災意識社会再構築会議なるものが球磨川水系の治水対策会議と並行して進められています。
 全く異なる二つの治水対策を同時に持ち出した背後には何があるのでしょうか。一方は、治水対策という名の基での利権追求であり、もう一方は基本高水治水では対応しきれなくなった災害防止を住民に責任転換しようとしているとしか私たちの目には映ってきません。別の言い方をすれば、利権に預かれる治水対策は国交省が請け負い、命を守る防災の方は住民が自己責任においておやりくださいと言っているように受け取れるということです。

捏造に捏造を重ねて作りだされる大雨-洪水-水害で住民を脅しても、決して住民の主体的な防災意識は育ちません。過去に、流域住民が主体的な防災意識が育っていたのは、住民の暮らしの中に川があったからです。

大切なことは、住民の暮らしの中に豊かな球磨川を蘇らせることであり、大雨-大水で流域住民をおどすことではないのです。

このような立場で、私たちは国交省と熊本県に以下のような意見書を提出することにしました。


                         

国土交通省八代河川国道事務所 所長 貫名功二 様

熊本県知事 蒲島郁夫 様

 


子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会 
                             代表 中島  康

 美しい球磨川を守る市民の会
                             代表 出水

清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会 
                             共同代表 緒方俊一郎

 共同代表 岐部 明廣



 想定最大規模降雨による洪水浸水想定区域図公表に関する意見書

 「ダムによらない治水を検討する場」は当時の九州地方整備局長の「ダムがなければ人吉の安全は保障されない」という会議そのものを否定する発言から始まった。この「検討する場」に国交省が最初に持ち出してきたものは氾濫戻しという水増しシミュレ―ション洪水5700㎥/sを人吉市に氾濫させることであった。

 これに対して、住民側からは、昭和40年洪水は甚大な水害を引き起こしたにもかかわらず、昭和40年洪水よりもっと大きな洪水が発生した昭和57年においては何故水害が発生しなかったという事実に基づいた対策こそが重要であるということが提起された。

 しかし、この住民からの提起を無視して、次に持ち出してきたものは、3年に一度の割合で堤防を決壊させ、人吉市に大水害を発生させることであった。しかも、これをもって人吉市の治水安全度は3分の1としたのだ。

治水安全度はあくまでも計画の規模の大きさを意味するものにすぎない。人吉地点の治水安全度は80分の1というとき、堤防決壊やダム放流の話が入りこむ余地はない。わざわざ堤防を決壊させて、治水の安全度は3分の1しかないという論理は成立しないのである。

「人吉市は3年に一度は堤防が決壊し、その都度水害に見舞われてきたはずであるが、幸運にも堤防が決壊しないで水害に遭うことなく過ぎてきただけである。本当は3年に一度は堤防が決壊して人吉の皆さんは水害に遭っているのだよ」というつくり話を治水安全度にすり替え、今もこのイカサマ治水論を展開し続けている。つくり話でも、だから、決壊しない堤防づくりに取り組みますというのであれば、少しは真実味もでてくるが、不思議な事に頑固として決壊する堤防維持にしがみついたままでいる。

 このイカサマ治水論に唖然としていると、再び、水増しシミュレーション洪水5700㎥/sを持ち出し、町も村も破壊してしまう治水対策案なるものを持ち出してきた。勿論、住民はこの対策案を全く評価しなかった。パブリックコメントの結果がそれを証明している。

 パブリックコメントで住民が表明した意見に基づく議論を始めるのかと思いきや、今度は、人吉上流には12時間に502mmの超豪雨を降らせ、流域を氾濫させてしまい、「さあ、皆さん大変なことになりましたよ。皆さんの防災意識を高めてください」と新聞紙上で呼び掛けた。

 もし、国交省が、これを事実として本気で考えているのであれば、第一回ダムによらない治水を検討する場においての岡本局長の発言を撤回することから始めなければならない。それだけでは済まない。球磨川水系に関する河川整備基本方針そのものも撤回し、検討する場や球磨川治水対策協議会で取り組んできたものすべてを破棄しなければならない。1000分の1で人吉市上流全域に12時間502mmが降るとしているのだ。今、私たちが体験している局地集中降雨とは全く違う雨が降るとしているのだ、だから、治水対策は全くゼロからのスタートとなるものなのだ。従来の災害とは全く違った事態が発生するからである。

計画の規模80分の1と1,000分の1は単に量の大きさの違いだけではない。災害の質の違いが重大な問題になるのだ。山に何が起き、川に何が起き、流域に何が起きてくるのか、80分の1と1000分の1の違いを克明に記述しなければならない。これをしなければ、避難の方法一つ考えることは不可能である。大雨を降らせて、流域を氾濫させて済む問題ではないのだ。

 それにしても、3分の1で流域住民をおどしたかと思ったら、水防法を使って1000分の1のおどしに切り替えたのだ。国交省のこの態度は流域住民の安全に責任を果たしているとはいえない。単にコンピューターゲームを楽しんでいるに過ぎないと思われても当然であろう。

 最近、国交省は防災意識社会の再構築に関する議論を盛んにされているようであるが、住民が川に対する防災の意識を無くしてしまったのは、治水・利水の名の基に、住民の暮らしから川が取り上げられてしまったからである。決して、国交省が提起している治水技術が進歩したからではない。このことを教えてくれているのが2015年に発生した鬼怒川の水害である。

 かつて、流域住民の暮らしの中に生きていた川はどんな川であったかを明らかにし、その川の再生に取り組むことが最優先されなければならない、川を流域住民のものにすることが流域住民の川に対する防災意識を高める第一歩になる。それは、住民が川と主体的に向き合った時にのみ可能となるからである。

      

以上の意見を踏まえ、住民が真に納得の出来る懇切丁寧な説明会の開催を要望する。流域住民の多くは、国交省は今なおダムありきの治水だけを煽り続けているに過ぎないと思っている。想定最大規模の洪水浸水想定区域に対しても同様の姿勢としか受け取っていない。

新聞紙上での公表だけでは、住民が主体的に防災意識を高めるために取り組まれたものとは理解していないし、理解し得ない。12時間502mmがダム建設のための脅しではなく、住民の主体的な防災意識の高まりを望むものであるなら、12時間502mmがなぜ現実的な対応であるのか、全住民が納得できるまで説明すべきである。

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by tewatasukai | 2017-05-27 17:05 | 報告