人気ブログランキング | 話題のタグを見る


清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会のブログです。イベントや川の様子をお知らせします。手渡す会のHPはこちら↓ http://tewatasukai.com/


by tewatasukai

カテゴリ

全体
イベント
報告
お知らせ
その他
手渡す会について
お願い
未分類

以前の記事

2022年 03月
2021年 11月
2021年 05月
2019年 06月
2019年 03月
2018年 10月
2018年 07月
2018年 05月
2017年 10月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 02月
2016年 10月
2016年 07月
2016年 04月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 01月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 04月
2013年 03月
2012年 12月

フォロー中のブログ

メモ帳

最新のトラックバック

ライフログ

検索

タグ

その他のジャンル

ブログパーツ

最新の記事

2022/04/17球磨川豪..
at 2022-03-31 20:16
書籍『流域治水がひらく川と人..
at 2021-11-19 20:27
書籍『流域治水がひらく川と人..
at 2021-11-19 20:27
お詫びと最新の活動報告
at 2021-05-31 22:43
意見書の提出
at 2019-06-10 00:19

外部リンク

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

ボランティア
日々の出来事

画像一覧

2022/04/17球磨川豪雨災害シンポ 日本環境学会九州大会分科会にて

【4/17午後 球磨川豪雨災害に関するシンポジウム】
日本環境会議九州大会の分科会で、球磨川豪雨災害を通して流域治水を考えるシンポを行います。
http://www.einap.org/jec/article/jec/46/103

★オンライン、会場参加ともに受付中

球磨川流域では、県が「緑の流域治水」を掲げ、国と共に洪水対策を進めようとしています。「緑の流域治水」とは、「流域全体を対象に、流出抑制、氾濫流のコントロール、土地利用規制など、建造物などのハード面だけでなく、ソフト面での対策も充実させる新しい考え方」とのこと(熊本県立大学「流域治水を核とした復興を起点とする持続社会地域共創拠点」より)。

しかし現地では、ダムと連続堤防と田んぼを潰した遊水地の造成、既存ダムの活用、治山ダム等による山対策、といったことしか示されていないことにくわえ、「橋梁がダム化して鉄砲水が出たことに全く触れていない」、「市房ダムや油谷ダムの放流や瀬戸石ダムがあることで却って被害が大きくなったのでは」、「ダムサイトや田んぼダムより下流で土木石流が起きているのになぜ役立つのか」、「災害の検証があまりに不十分」といった被災者の嘆きの声に接します。

各地で進められている流域治水は、気候変動時代の豪雨に本当に対応できるのか。

流域治水について球磨川豪雨災害を通して考えることは、他の地域の川づくりやまちづくりを考える上でも大切な知見を伝えてくれるものと思います。

リアル+オンラインで行うため、流域に所縁のある方々はもちろん、ご関心をお持ちの全国のみなさんにご参加いただけると幸いです。
なお、九州大会の全スケジュールはこちら。諫早湾干拓事業や水俣病に関するシンポも開催します。
8日最高裁・損害賠償を求めた訴訟、25日福岡高裁・諫早湾干拓の開門をめぐる訴訟、今日の熊本地裁・子世代の水俣病認定を求める訴訟と、司法への信頼が揺らぐような判決が続いています。
当日は、現地の状況や今後の課題に関する詳しい報告がなされると思います。ご関心のある方はこちらもぜひどうぞ。
-------------------
日本環境会議 九州大会 2日目<水害分科会>開催プログラム
「球磨川豪雨災害から考える流域治水の現状と課題」
日 時 : 2022年4月17日(日) 13時半〜16時
場 所 : 熊本学園大学 14号館教室 + オンライン
主 催 : 日本環境会議(JEC)
参加費 : 無料
*開催趣旨説明:
・森明香(高知大学助教)
「球磨川豪雨災害とその後の検証および球磨川流域治水の現状について」
*報告(流域の被災者・支援者らの被災体験と市民調査から)(50~60分):
-黒田弘行(人吉市・清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会)
-岩崎哲秀(球磨村神瀬・球磨川流域住民再生ネットワーク) 
-つる詳子(八代市・自然観察指導員熊本県連絡会会長)
*コメント:
-宮本博司(株・樽徳商店、元国土交通省近畿地方整備局淀川河川事務所長)(15分)
-佐藤宣子(九州大学大学院農学研究院教授・NPO法人九州森林ネットワーク理事長)(15分)
*質疑応答・総合討論(25~30分)
-------------------

# by tewatasukai | 2022-03-31 20:16 | お知らせ

書籍『流域治水がひらく川と人との関係』出版のお知らせ

2021年11月24日、農山漁村文化協会(農文協)より書籍『流域治水がひらく川と人の関係 2020年球磨川水害の経験に学ぶ』(嘉田由紀子編著)が出版されます。

7・4球磨川豪雨の被害実態調査、見えてきた川との暮らしの在り方、「流域治水」がこれから目指すべきものについて、流域住民や河川工学や環境社会学の専門家、元国交省職員らの言葉を元に、ともに考える内容です。
ぜひご一読下さい。

出版に合わせ、11月28日(日)に出版記念シンポジウムを開催します。
会場でも書籍販売を行います。詳細は手渡す会Facebook をご覧ください。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐
著者 嘉田由紀子 編著
定価 2,420円 (税込)
ISBNコード 9784540212161
発行日 2021/11
出版 農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数 A5 224ページ

■解説
2020年7月4日九州で球磨川水害が発生し、50名もの方が亡くなった。この人たちはなぜ・どのようにして亡くなったのか。研究者と被災者たちによる共同調査から明らかにする。また2021年4月流域治水関連法が成立。国の治水方針の大転換であるが、本書は流域治水の歴史と意義、その可能性について詳述している。亡くなられた一人ひとりに目を向けた、それも被災当事者を交えた調査のとりまとめとしても、流域治水の総合的な解説書としてもはじめてのもの。2020年球磨川水害の経験に学び、気候危機の時代に求められる流域治水を展望する。

■著者(編著)
嘉田由紀子(かだゆきこ、編著者)1950年埼玉県生まれ。農学博士。専門は環境社会学。前滋賀県知事、現参議院議員。著書『水と人の環境史』(共著、御茶の水書房)、『生活世界の環境学』(農文協)、『水辺遊びの生態学』(共著、農文協)、『水辺ぐらしの環境学』(昭和堂)、『環境社会学』(岩波書店)ほか多数。

■目次
[カラー口絵]球磨川流域と2020年7月4日球磨川水害
第1章 2020年7月4日球磨川水害 現地溺死者調査の方法と経過 嘉田由紀子
第2章 何が生死を分けたか――現地溺死者調査の報告
 下流部から 瀬戸石ダムと森林の影響を考える つる詳子
 中流部から 球磨村からの報告 市花由紀子
 上流部から 人吉盆地の実態調査から何を学んだか 木本雅己
 球磨川宣言――私たちは被災してもなお川と共に生きる
第3章 球磨川水害と流域治水 島谷幸宏
第4章 「流域治水」の歴史的背景、滋賀県の経験と日本全体での実装化に向けて――住民と行政の「楽しい覚悟」の提案 嘉田由紀子
第5章 流域治水に求められる専門家の視点
 民衆の知恵・水害防備林を見直そう!――「流域治水」の問題点とこれからの治水のあり方 大熊 孝
 人命最優先の流域治水には地域主権改革が必要 宮本博司 
 治水のあり方から考える流域治水の重要性と球磨川水系河川整備計画への提言 今本博健



# by tewatasukai | 2021-11-19 20:27 | お知らせ

書籍『流域治水がひらく川と人との関係』出版のお知らせ

2021年11月24日、農山漁村文化協会(農文協)より書籍『流域治水がひらく川と人の関係 2020年球磨川水害の経験に学ぶ』(嘉田由紀子編著)が出版されます。

7・4球磨川豪雨の被害実態調査、見えてきた川との暮らしの在り方、「流域治水」がこれから目指すべきものについて、流域住民や河川工学や環境社会学の専門家、元国交省職員らの言葉を元に、ともに考える内容です。
ぜひご一読下さい。

出版に合わせ、11月28日(日)に出版記念シンポジウムを開催します。
会場でも書籍販売を行います。詳細は手渡す会Facebook をご覧ください。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐
著者 嘉田由紀子 編著
定価 2,420円 (税込)
ISBNコード 9784540212161
発行日 2021/11
出版 農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数 A5 224ページ

■解説
2020年7月4日九州で球磨川水害が発生し、50名もの方が亡くなった。この人たちはなぜ・どのようにして亡くなったのか。研究者と被災者たちによる共同調査から明らかにする。また2021年4月流域治水関連法が成立。国の治水方針の大転換であるが、本書は流域治水の歴史と意義、その可能性について詳述している。亡くなられた一人ひとりに目を向けた、それも被災当事者を交えた調査のとりまとめとしても、流域治水の総合的な解説書としてもはじめてのもの。2020年球磨川水害の経験に学び、気候危機の時代に求められる流域治水を展望する。

■著者(編著)
嘉田由紀子(かだゆきこ、編著者)1950年埼玉県生まれ。農学博士。専門は環境社会学。前滋賀県知事、現参議院議員。著書『水と人の環境史』(共著、御茶の水書房)、『生活世界の環境学』(農文協)、『水辺遊びの生態学』(共著、農文協)、『水辺ぐらしの環境学』(昭和堂)、『環境社会学』(岩波書店)ほか多数。

■目次
[カラー口絵]球磨川流域と2020年7月4日球磨川水害
第1章 2020年7月4日球磨川水害 現地溺死者調査の方法と経過 嘉田由紀子
第2章 何が生死を分けたか――現地溺死者調査の報告
 下流部から 瀬戸石ダムと森林の影響を考える つる詳子
 中流部から 球磨村からの報告 市花由紀子
 上流部から 人吉盆地の実態調査から何を学んだか 木本雅己
 球磨川宣言――私たちは被災してもなお川と共に生きる
第3章 球磨川水害と流域治水 島谷幸宏
第4章 「流域治水」の歴史的背景、滋賀県の経験と日本全体での実装化に向けて――住民と行政の「楽しい覚悟」の提案 嘉田由紀子
第5章 流域治水に求められる専門家の視点
 民衆の知恵・水害防備林を見直そう!――「流域治水」の問題点とこれからの治水のあり方 大熊 孝
 人命最優先の流域治水には地域主権改革が必要 宮本博司 
 治水のあり方から考える流域治水の重要性と球磨川水系河川整備計画への提言 今本博健



# by tewatasukai | 2021-11-19 20:27 | お知らせ

お詫びと最新の活動報告

手渡す会HPをご覧の皆様へ

諸々の事情でブログの更新が長期間滞っていたことをお詫びいたします。

そしてまた、20207月の球磨川流域豪雨災害の際は、HPをご覧の皆様にもご心配をおかけしている事が予想出来たにもかかわらず、被害の状況やその後の活動の報告が出来なかったことを、重ねてお詫びいたします。

手渡す会事務局メンバーも大半が甚大な被害を受け、被災を免れたメンバーも復旧作業の手伝い等に追われていますが、そんな中、「何が人命を奪ったのか」を究明するための聞き取り調査やデータの収集、また意見書・要望書の提出等、出来る限りの活動を続けております。

最新の活動としましては、本日2021531日13時より、リモートではありますが国土交通省への要請を行いました。

また、引き続き14時よりオンラインで開催された「流域治水シンポジウム②」にくま川ハウスからの中継で、他団体の代表者とともに主な事務局メンバーが参加しました。

国土交通省への要請には、国交省水管理・国土保全局の総務課長らに対応して頂き、担当部署にしっかりと伝え、然るべき立場の方からできるだけ早くに回答する、と明言して頂きました。同行くださった嘉田議員、篠原議員も迅速に回答を得るためご尽力くださる、とのことでした。

14時からのシンポジウムには、平日日中で時間の調整が難しいなか140名を超える方々が参加し、耳を傾けてくださっていました。

地元からは、下流域(坂本町を中心に芦北町・球磨村と隣接するエリア)から山と瀬戸石ダムの影響に関して、中流域(球磨村)から被災した当日に起きていたことについて、同じく中流域(人吉市)から被災者らによる手弁当の豪雨災害実態調査から見えてきたことについて、それぞれ報告をしました。

これらを踏まえて、私たちは最後に「球磨川宣言」を読み上げました。

(宣言文もアップします)

報告からは、流域の各地点で、連続堤防や治山ダム・治水ダム、導流堤などのコンクリート構造物、そして山の荒廃が被害を拡大させていたことが伝わったのではないかと思います。

私たちは昨年7月に被災した後から、自らや親類・友人たちの復旧作業を行いながら、調査を重ねてきました。被災者自らが調査をせざるを得なかったのは、国も、県も、真摯な検証とは言い難い状態のまま、拙速に「川辺川に流水型ダム」を決めたからです。

自然とは複雑なものです。私たち自身、調査をする中で見知ったことがたくさんありました。

現場を見て歩くことなく、被災者の災害体験談を聞くことなく、机上の計算と現地のわずかな視察のみで、十分な検証などできるのでしょうか。

今日のシンポは録画されていたので、何らかのかたちで公開されるものと思います。

公開された暁にはぜひ多くの方にご覧いただき、川づくり、山づくりと一体である流域社会づくりをどのように考えていく必要があるのか、考えるために役立ててもらいたいと思っています。



                              2021 5 31

国土交通大臣 赤羽一嘉様

 

   国土交通省への要請


        74 球磨川流域豪雨被災者・賛同者の会共同代表 鳥飼香世子・市花 保

        清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会 共同代表 緒方俊一郎

                                    岐部明廣

        子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会 代表 中島 康

          連絡先 熊本市西区島崎4-5-13 中島康 電話 09025053880


球磨川の洪水で亡くなられた方々の原因調査

2020 7 4 日の熊本豪雨に伴う球磨川の洪水により、50 名の死者と 2 名の行方不

明者が出ました。国はその原因調査を詳細かつ迅速に取り組んでいただきたい。被災者

の会の調査によると、人吉市での死者 20 名の死亡原因は、球磨川本川の氾濫によるも

のではなく、支流及び小河川の急激な増水と急速な流れにあります。支流の氾濫と本川

の氾濫の時間的なズレからも、死者の大半の原因が支流にあることは明白です。洪水に

よる死者をなくすことが水害対策の第一義であるはずです。しかし国は、本川の水位を

ダムで低下させたら被害は軽減できたと主張し、被災者の聞き取りを含む原因の究明を

全く行っていない。何が命を奪ったのか原因解明をせずに、次の洪水に対処できません。


堆積土砂の掘削の再検討

1993 年の手渡す会発足以来、私たちは球磨川水系に堆積した土砂の撤去を国に要請

してきました。しかし河川の土砂撤去が行われたことはほとんどありません。2009

に始まった「ダムによらない治水を検討する場」においても、住民からの度重なる要請

は無視され、人吉市の土砂撤去はなされませんでした。その間、河床は年々浅くなり、

氾濫リスクは増大し続けました。今回の豪雨被害により国は堆積土砂の撤去を始めまし

た。しかしその中身は、住民の要望と大きな隔たりがあります。今期水系全体で 70

㎥の撤去が計画されほぼ完了しましたが、その効果は「2020 7 3 日以前の河床に

戻す」のみに止まっています(5 19 日熊本県による説明)。7 月豪雨と同等で被災す

る現状を放置せず、河川環境を踏まえた方法で、土砂撤去に取り組んでいただきたい。


合流点の問題

球磨川・川辺川の合流点は、上流で掘削した土砂の置き場となっています。この場所

は過去に遊水地の役目を担っていた場所であり、旧河道であったところです。昨年の災

害時にはこの場所に大量に積み上げられていた丸太が流出し、鉄橋を塞ぎ一帯をダム化

させ、流木・土石・ヘドロを伴った鉄砲水となって一挙に市街地を襲いました。

今のままでは、次の洪水で同様の事態を引き起こし、洪水を激甚化させます。球磨川・

川辺川の合流点を土砂置き場にするような暴挙は直ちに中止して土砂を除去し、国の

買い上げにより氾濫原として保全することを求めます。


山の荒廃への対策

経済効率を重視した伐採や奥山の開発が、莫大な土石と流木を伴った破壊力の強い洪

水の発生を促しています。流域の森林と森林を育む山地の保全と一体化した豪雨対策に、

直ちに取り組んでいただきたい。球磨川の流域治水は山を抜きに語れません。


破棄された緊急放流試算が示す矛盾

「国が破棄」との報道があった後に公開された「ダム洪水調節効果」試算によると、

川辺川ダムがあればピーク流量の低減を見込めるものの、実績降雨を含むすべての降雨

パターンで人吉地点・横石地点の計画高水流量を超える、と明記されています。つまり、

川辺川ダムがあっても下流域の氾濫を防ぐことはできないと、貴省自らが認めています。

さらに、1.3 倍以上の降雨で、「ピーク流量を過ぎた洪水末期で異常洪水時防災操作に

移行する」とあります。今回の洪水で既存の市房ダムは、ピーク流量に至るはるか前の

8 30 分に緊急放流を行うとメディアを通して発信されました。その通告を、逃げ遅

れ屋根に避難していた人々が絶望の思いで聞いています。ダムが緊急放流を余儀なくさ

れるときには、下流域ではすでに氾濫し被害が出ているのが、洪水の実態です。下流域

で既に被害が発生した後に、ダム本体が洪水調節不能の状態になることは、数多の流域

住民の死を意味します。実際に起きたことを踏まえ、ダムの有害性を認識すべきです。


既存施設が孕むリスクに関する説明責任

温暖化による異常降雨に、ダムや連続堤防だけでは防御不能という事は国も認識して

いる事実です。前述の通り、想定以上の降雨の場合、ダムは被害を拡大します。また、

堤防や樋門は内水被害を助長します。既存施設が孕むこうしたリスクや、ダムには寿命

があり、河川環境を悪化させ、地域の宝である豊かな自然環境を破壊するといったデメ

リットについても、流域住民に対し丁寧に説明していただきたい。


住民主体の流域治水の実現

流域治水の理念に基づいた生命を守る水害対策は、国土交通省だけでは実現が困難で

す。あらゆる省庁の参加を要請します。また地域の住民の参加は必須です。主体は住民

であり、住民の意向を反映しない対策は無意味です。現行の住民不在の流域治水協議会

は抜本から改善する必要があります。流域住民が判断する上で十分な情報開示と、実効

性のある住民参加とを前提とした政策決定プロセスに改善するよう、強く求めます。

自然豊かな川は生態系を育む流域社会の基盤であり、流域住民の暮らしはその恩恵の

中にあります。球磨川は私たちの宝です。流域の民の声を聞いていただきたい


お詫びと最新の活動報告_d0284413_21364809.jpg
お詫びと最新の活動報告_d0284413_21523500.jpg

お詫びと最新の活動報告_d0284413_21530192.jpg









# by tewatasukai | 2021-05-31 22:43 | 報告

意見書の提出

報告が遅くなって申し訳ありません。
手渡す会より、 2019年5月14日国土交通省九州地方整備局と長熊本県知事に下記の意見書を提出いたしました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 2019年 514

国土交通省九州地方整備局長 伊勢田敏殿

熊本県知事 蒲島郁夫殿

意見書

∗∗∗ 球磨川水系流域の災害防止対策で最も重要な課題は

全流域の山地の保全と球磨川水系の再生である ∗∗∗

 荒瀬ダム撤去の成果を原点にした防災対策協議会に切り替えることを望む


           清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会

                        共同代表 緒方俊一郎

                        共同代表 岐部 明廣

子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会

代表 中島  康


はじめに

川辺川ダム建設中止と同時に始まったダムによらない球磨川水系の治水対策の検討はすでに10年を超えたが、いまなお足踏み状態が続いている。

これは、流域住民が自然の営む豊かな球磨川水系を守るためにダム建設に反対し、川辺川ダム建設中止を実現させたことや、球磨川水系の流域において現実に発生している災害の事実などを全く無視し、ただただダム建設を前提とする基本高水治水にしがみついている国交省の姿勢に起因している。

川辺川ダム建設中止に至るまでの経過を踏まえるならば、ダムによらない治水対策ではなく、自然豊かな球磨川水系再生対策協議会でなければならなかったはずである。洪水を流すための用水路に転化させるようなダム代替案をつくり出すことを願ってダム建設に反対したのではないのだ。

私たちが求めているのは、流域の災害を防止することも含めた山地の保全と球磨川水系の再生である。川から自然の営みを奪い取り、川を破壊する建造物の撤去・土石流や山地崩壊を引き起こしている建造物の撤去は急務な課題であるのだ。荒瀬ダム撤去は球磨川再生と流域の災害防止に絶大な効果を発揮してくれたことを流域住民は体験的に深い認識を獲得している。今後の取り組みは荒瀬ダム撤去の成果を原点にした防災対策協議会に切り替えることを望む


[] 私たちはなぜ自然豊かな川の再生を求めるのか

── 近年における豪雨災害史も私たちの考えを後押ししてくれている

 球磨川の流域住民である私達は、球磨川流域に発生している災害と直接向き合って暮らしている。この流域で多くの命が奪われた災害は、すべて川ではなくて山にあるということだ。土石流と山腹崩壊だ。

 ところが、国交省はこのような災害もダム建設で救えると主張し住民討論集会でも大きな議論となったが、今なお、この馬鹿げた基本高水治水の考えを最善の災害防止対策と考え続けている。10年かけて、何も対策がつくれない原因はここにあるのだ。また、1965年に人吉市で発生した水害から災害防止に何が大切であったかに関する事実を学びとろうとはせず、ただ被害の大きさだけを煽りたてることしかしないことにも原因はある。

1965年の人吉水害は防災に何が大切であるか、多くのことを私たちに教えてくれている。その一つは、この水害を引き起こした原因は、人吉より上流に建設された連続堤防と市房ダムという基本高水治水そのものが水害をもたらしたという事実である。

二つ目は、いまは球磨川の川底となっている矢黒町の亀ヶ淵地区の住宅は一軒を残し、全部が流されてしまったにも関わらず死者は1名でしかなかったことである。流域住民の避難活動や救助活動が発揮できたのは、日頃の暮らしの中に川があり、川沿いに暮らす暮らしの知恵を身につけていたという事実である。2015年発生した鬼怒川の堤防決壊による氾濫時には航空機までもが救出に動員されたが、人吉市では流域住民の力のみであった。

2018年に起きた岡山県の堤防決壊や愛媛県のダム放流が引き起こした甚大な被害を出した災害と比較して決定的な違いは何であろうか。

1954年当時の人吉の住民の暮らしの中には川があったということだ。川が氾濫するのを敵視するのではなく、被災しながらも多くの恵みをもたらしてくれものと受け止め川と共に暮らしていたのだ。

だから、住民は主体的に雨の降り方を観察し、川の増水の仕方を観察し、避難の仕方を決めていた。これが川の流域で、川と共に生きる人々の意識であったのだ。安全と安心を売りにする連続堤防やダムが流域住民の暮らしから川を奪い取ってしまい、川と共に暮らす知恵を奪い取ってしまった結果が鬼怒川であり小田川であり、肱川である。非難されるべき対象は暮らしから川を奪い取る治水や利水の技術である。


[] 国交省自らが「11000」で基本高水治水を破綻させた

 2015年に発生した鬼怒川の堤防決壊による災害をきっかけに国交省は住民の防災意識の欠如を問題にするようになった。しかし、流域住民の防災意識を奪ったのは国交省が安全神話の名のもとに推進してきたダムと連続堤防である。防災意識の欠如は、危険な氾濫原まで宅地として開発を進めさせた上、流域住民の暮らしから川を奪いとってしまったことに起因しているのだ。

 ところが、国交省はこの重大な事実に蓋をし、住民の防災意識の欠如だけを取り立て、堤防決壊による氾濫が引き起こした被害にもかかわらず、住民の防災意識の欠如を被害の原因に仕立ててしまったのだ。

2015年の12月には早々に「水防災意識社会再構築ビジョン」なるものを策定し、「甚大な災害が起きた原因は治水の技術の進歩により住民の防災意識が無くなった事にある」とまで言い切った。

 この事実に反した無謀な考えを住民に押しつけるため、国交省は水防法の改変に取り組んだ。具体的には11000の雨を持ち出し、人吉市や八代市を壊滅させ、「自己責任で行政の指示に従って主体的に避難せよ!」と言いだした。

 実際にはどのようなことが行われているか、人吉市鬼木町在住の人の場合を例に紹介しておく。真夜中、大雨が降っている最中、家族皆の携帯が鳴り、避難指示が出る。寝具や食糧は各自持参せよとの事。避難先は鬼木町で一番氾濫

危険地帯に建設されているコミュニティーセンターだ。そこへ行くためには橋を渡らなければならない。安全のためには絶対に避難してはならない場所なのだ。

 それだけではない。球磨村からも、相良村からも、錦町からも、あさぎり町からも避難指示が入ってくるのだ。もし、この町村の指定した避難場所に行こうものならたちまちよそ者で門前払いになるだろう。

 なぜ、こんなデタラメなことが平然と行われているのだろうか。それは、基本高水治水そのものの本性に根差しているのだ。現実に発生している災害の事実を無視し、想定した基本高水という洪水をどう処理するかという意識しかないからである。この具体的な証拠はまさに球磨川治水対策協議会の提起された治水対策案に反映されている。

流域に発生している災害の具体的な事実を無視し、流域住民の暮らしを無視し、流域住民が球磨川水系と共に暮らしてきた歴史を無視し、川とはいかなる自然であるかを問うこともなく、ただただ、基本高水という洪水の数値処理だけに振り回された現実性のない治水対策案でしかない。

肱川に野村ダム建設を推進した村長が「国交省がダムをつくれば流域は安全だといったから推進した。私にはなんの責任もない」と発言していた。これこそ、基本高水治水とはこのようなものでしかないことを物語ってくれた姿であった。

自然豊かな球磨川水系の再生を願う流域住民と膝を交えて話し合うことなしに、流域住民の防災を確立することはできないであろう。


[] 生態系の豊かな山林と球磨川水系の再生こそ優れた災害防止対策

 手渡す会は川辺川ダム建設に反対する立場を自然のままの川を守るためであるとした。そこには重要な二つの側面があった。一つは、流域住民の暮らしと歴史を育んでくれた豊かな自然の営みのある球磨川水系を未来に手渡す責務があるということである。そして、もう一つはこの球磨川水系において甚大な災害が発生させたのは連続堤防とダムであるという事実があるということだ。

 治水対策イコール災害防止という図式が独り歩きをしている中、2018年には四国や中国地方においてダムの放流・堤防決壊・砂防ダムの崩壊などにより流域に甚大な災害を引き起こした。治水対策イコール災害防止が崩れてしまった年でもあった。2012年には堤防で都市開発が行われた熊本市の竜田陣内地区は白川の氾濫で水害に直面した。堤防が水害をつくり出している典型的な事象の一つである。

 また、自然を無視した山地開発が広島県や愛媛県などにおいて甚大な土砂災害を引き起こした。2012年には熊本県の阿蘇で、2014年には東京都の大島で、2017年には福岡県の朝倉で山地崩壊の甚大な災害が発生し続けている。

その上、すでに触れたことであるが、11000の雨でダムの機能は無くなり、堤防はすべて崩壊してしまい、流域全域が甚大な災害に遭うとしてしまった。

 砂防ダムで山地崩壊は防ぐことは出来ない。川の開発が川による災害を呼び込み、山の開発が山の災害を呼び込んでいるのだ。この事実を知ることが流域の災害防止の第一歩であり、基礎である。

 球磨川水系流域の災害問題を考える上で重要な資料がある。住民討論集会に住民側が提出した資料である。

意見書の提出_d0284413_00182168.png
この表は球磨川水系流域で発生した多くの命を奪った災害の実態を分かり易く表現したものである。その後においても、この実態は変わっていない。命の危険にさらされる災害は今も土石流と山地崩壊である。

 この土石流や山地崩壊により、多量の土砂が連続堤防で固定してしまった川に流れ込むため、川は二重の被害を被っている。川は川の固定化と多量の土砂の流れ込みで破壊され続けているのだ。このような川の破壊は甚大な災害を引き起こす。その典型が岡山県の天井川となった小田川である。

 基本高水治水で川の流域を開発する愚かな行為をやめることが、そして奥山の開発を止めることが災害防止の唯一の対策である。

そして、暮らしの中に自然豊かな球磨川を取り戻し、川と共に生きる知恵を住民自らの知恵として身につけることである。これは、川の流域に暮らすことを選んだ住民に自然が課した責務であるのだ。

この課題に対し、自治体はどう応えるべきか。小中学校や地域の公民館に住民に開かれた資料室を設置することである。自分が居住している土地はどのような災害のリスクを背負ったところかに関する具体的な情報を身につけるようにすることを目的とした資料室である。

この目的を果たすためには、最低、地域の地形・地質と災害の歴史を結び付けた誰にでも解かる具体的な内容を展示しなければならない。1/1000の大雨でオオカミ少年的対策をすることではなく、居住する地域の自然が暮らしの中にあるようにすることを防災の一番の大切な基盤に据えるべきである。

最後に、球磨川治水対策協議会参加のメンバーは次に述べることを脳裏に留め置いて頂きたい。それは、20187月豪雨による死者は最も多いのが土砂災害であり、続いて堤防決壊によるものであり、そしてダム放流によるものであるということを。この死者の数値こそが流域の山地の保全と自然豊かな球磨川水系の再生こそが重要であることを物語っている。


# by tewatasukai | 2019-06-10 00:19 | 報告